「三方善」はスローガンではなく、日々の判断基準
社会保険労務士法人 大手前総合労務管理事務所のロゴにある3つの輪は、「弊所」「お客様」「関わる人々」が少しずつ力を出し合い、一つの成果を生む「三方善」を表しています。これは単なる理念ではなく、入社1〜3年目の新人が日々の判断に使える、実務レベルのコンパスでもあります。
入社1〜3年目が体感した「三方善」:クライアント対応の現場から
事例1:手続きの「正しさ」と「わかりやすさ」を両立させる
入社2年目のスタッフAさんは、雇用保険の手続きについて、期限ぎりぎりで相談を受けました。法律的には最小限の対応で要件は足りますが、今後の運用を考えると、人事担当者への説明や社内フローの整理も必要な状況でした。
Aさんは「三方善」で考えました。弊所の効率だけを優先すれば、必要書類の案内と提出代行で十分です。しかし「お客様」にとっては、再発防止の仕組みがあった方が安心でき、「関わる人々」である現場責任者や従業員にとっても手続きの流れが見える方が混乱が少ないと判断しました。
そこで、単なる手続き案内にとどめず、「次回以降のチェックリスト」と「社内説明用の簡易資料」もセットで提案。結果として、クライアントからは「法律と実務、両方わかってくれている」との評価を受け、継続的な相談が増えていきました。
事例2:ミスをチームの学びに変える
入社1年目のBさんは、給与計算のデータ入力で単純ミスをしてしまいました。早期発見で大きな影響は出なかったものの、自信を失いかけていました。そのとき、担当の先輩が意識したのも「三方善」です。
先輩はまず、お客様への誠実な報告と再発防止策の提示で「お客様」の不安を抑えました。同時に、Bさんとの振り返りミーティングを行い、「どうすれば新人でも防げる仕組みにできるか」を一緒に検討。入力フローの見直しとチェックリスト化を進め、チーム全体に共有しました。
結果として、Bさん個人のミスが、「関わる人々」であるチーム全員の業務精度を上げるきっかけとなり、「弊所」としての品質向上にもつながりました。「自分の失敗も、三方善の視点で活かせる」と気づいたことが、Bさんの成長の大きな転機になっています。
先輩が後輩育成に「三方善」をどう活かしているか
大手前総合労務管理事務所では、OJTや実務者研修の場面でも「三方善」を共通言語として使っています。
- 後輩に業務を任せるとき:「弊所」の品質基準を守りつつ、「お客様」にとっての見やすさ・伝わりやすさを一緒に検討する
- フィードバックのとき:「できていない点」だけでなく、「関わる人々」(他のメンバー・クライアント担当者など)にどんな影響があるかをセットで伝える
- キャリア相談のとき:本人のやりたいことだけでなく、「お客様」のニーズや事務所としての強みとの重なりを探し、現実的な成長ステップを描く
このように、育成の場でも三方善を軸に会話をすることで、新人も「何を基準に考えればよいか」が理解しやすくなり、早い段階でプロとしての視点を身につけていきます。
「三方善」を意識すると市場価値はどう高まるか
労務のプロとして長く活躍するためには、法令知識だけでは不十分です。三方善を行動レベルで体現することで、次のような力が磨かれます。
- 課題設定力:顕在化している問題だけでなく、その裏にある「お客様」と「関わる人々」の状況まで想像し、先回りして整理する力
- 提案力:事務作業の代行にとどまらず、「どうすれば全体がうまく回るか」を示す改善提案を行う力
- 協働力:社内外のメンバーと役割分担しながら、最終的なゴールを共有して進める力
これらは、どの職場・どの業種でも通用する汎用的なスキルです。三方善を意識した経験を積み重ねるほど、「どこでも求められる人材」としての市場価値は確実に高まっていきます。
自己PR・志望動機に使える「三方善」活用テンプレート
応募前に、自分の経験や思いを三方善に沿って整理してみると、「ここで働くイメージ」が具体的になります。以下の3つの問いに沿って、自分の言葉で書き出してみてください。
1. 弊所(自分が働く組織)にどう貢献できるか
- これまでの経験で培った強みは何か
- その強みを、労務・社会保険・給与計算などの実務でどう活かせそうか
- チームの一員として、どのように周囲を支えられそうか
2. お客様にどんな価値を届けたいか
- 「こういうサポートがあれば、自分が経営者ならうれしい」と思うことは何か
- お客様が安心して相談できる相手になるために、自分が意識したい姿勢は何か
- 正確さに加えて、「わかりやすさ」や「速さ」をどう両立させたいか
3. 関わる人々とどう関係を築きたいか
- 先輩・後輩・他部署と、どのようなコミュニケーションを大切にしたいか
- 自分が経験した失敗や学びを、どう周囲の成長に還元したいか
- 将来、自分が後輩を育成する立場になったとき、どんな先輩でありたいか
これらを文章化していくと、志望動機や自己PRは「三方善」を軸にした、一貫性のある内容になります。そして、それはそのまま、入社後に実際の仕事で意識するべき行動指針にもなっていきます。