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【歴史で読み解く社労士業界】1990年代から2020年代までの変化と、これから10年で求められる人材像

テレワーク制度設計 , 人的資本経営 , 働き方改革 , 労働法改正対応 , 社会保険労務士業務

2026.04.24

1990年代:年金・雇用保険制度改正と「手続きを極める」時代

1992年、当事務所は個人事業として独立開業しました。この頃の社労士業務は、年金・雇用保険制度改正への対応や、紙ベースの届出・算定業務が中心でした。バブル崩壊後の雇用調整・早期退職が増え、解雇・雇止めなどの相談も徐々に増加。
一方で、社労士はまだ「手続きの専門家」と見なされることが多く、企業の人事戦略に深く入り込むケースは限定的でした。地道に制度・書式・運用実務を蓄積したこの時期の経験が、後の高度なコンサルティングの土台となっています。

2000年代:非正規雇用の拡大と「雇用の多様化」への対応

2000年代はパート・派遣・契約社員など非正規雇用が大きく増え、就業形態が多様化しました。2002年には当事務所も現在の大阪市中央区内平野町(シグナスビル)へ移転し、顧客層の拡大に合わせて、就業規則や雇用契約書の整備、パートタイマーの処遇設計などの相談が増加しました。
同時に、労働時間管理や割増賃金のトラブルも顕在化し、「法律を守るためのルールづくり」が社労士の主要業務に。給与計算代行や高年齢者の継続雇用に関する相談も増え、実務と制度設計をセットで支援するスタイルが定着していきました。

2010年代:働き方改革と情報セキュリティの時代

2010年、当事務所は社会保険労務士法人へ法人化し、本格的な組織化フェーズに入りました。労働契約法・高年齢者雇用安定法改正、マイナンバー制度、そして働き方改革関連法と、企業の労務リスクは質・量ともに拡大。
2014年の事務所増床・改装を経て、2015年には情報セキュリティの国際規格「ISO27001」を取得し、膨大な個人情報を扱う専門家としての管理体制を強化しました。
この時期から、単なる手続き代行にとどまらず、「長時間労働是正」「同一労働同一賃金」「高齢者の賃金シミュレーション」など、中長期の人事戦略を見据えた伴走型支援が主流となりました。

2020年代:テレワークと人的資本経営、社労士の新しい役割

新型コロナウイルス流行を契機に、テレワークやフレックスなど柔軟な働き方が一気に進みました。勤怠管理のデジタル化、在宅勤務規程の整備、メンタルヘルス対策など、社労士が関わる領域はオフィスの外へと広がっています。
同時に、「人的資本経営」「人的資本の情報開示」が注目され、採用・育成・定着を通じて企業価値を高める視点が重要になりました。社労士法人には、法令遵守だけでなく、「人材戦略のパートナー」として、組織課題の見える化や人事制度設計を支援する役割が期待されています。

これから10年、社労士法人に求められる役割

今後10年は、人口減少・DX・リスキリングなどを背景に、次のような役割がより重要になります。

  • 労務トラブルの「事後対応」から「予防・設計」へのシフト
  • 評価・賃金・等級制度など、人事制度全体の設計・運用支援
  • 高年齢者・多様な人材の活躍を前提とした賃金・処遇設計
  • クラウド勤怠・給与システムを活用した業務プロセス改革
  • 人的資本開示やエンゲージメント向上に関するアドバイザリー

制度と現場運用をつなぎ、経営と従業員双方にとって持続可能な仕組みを描ける社労士法人が求められます。

これから入社する人に期待する資質と「向いているか」チェックリスト

当事務所がこれからの人材に期待する主な資質は、論理的思考力、ホスピタリティ、ITリテラシー、コンプライアンス意識の4点です。以下のチェックリストで、自分の適性を簡易診断できます。

  • 法律や数字を扱うことに抵抗がなく、根拠を整理して説明するのが得意だ
  • 相手の状況を想像し、「どう伝えれば安心してもらえるか」を考えられる
  • 新しいソフトやクラウドサービスを試すことに前向きだ
  • 「ルールを守ること」が人と組織を守ると実感できる
  • 細かい確認作業や、コツコツした改善提案が嫌いではない

3つ以上当てはまれば、社労士業界との親和性は高いといえます。

面接で差がつく、業界研究の深掘り質問集

業界理解を深めたうえで、次のような質問を用意すると、具体性のある対話につながります。

  • 1990年代・2000年代と比べて、最近10年で業務の質はどう変わりましたか
  • 働き方改革やテレワークの影響で、顧問先から増えた相談テーマは何ですか
  • ISO27001取得など情報セキュリティへの取り組みが、日々の実務にどう生きていますか
  • 新人が1〜3年で身につけるべき力と、そのための支援体制を教えてください
  • 今後10年で、御社が強化したいサービス領域はどこですか

過去30年の変化と今後10年の方向性を意識した質問ができれば、業界への理解と本気度を効果的に伝えられます。