病院から在宅へ──ARIA誕生の背景にあった違和感
宮崎は急性期病院でキャリアを重ねる中で、「患者さんの人生を知らないまま退院支援をしている」ことに強い違和感を抱いていました。治療は成功しても、退院後の暮らしや家族の不安には十分に向き合えていない。年功序列の風土のなかで、現場のアイデアや挑戦も通りにくい。こうした経験から、「生活の場にこそ看護の本質がある」「現場の意思決定を尊重する組織をつくりたい」と考え、2022年に大阪・本町でARIAを創業しました。
「笑顔あふれる自分らしい人生を」に込めた意味
ARIAのミッション「笑顔あふれる自分らしい人生を」は、病気や障がいがあっても、その人の価値観や選択を尊重したいという想いを言語化したものです。宮崎は「看護=医療行為」ではなく、「人生の伴走」と定義します。子どもであれば、将来どんな生活を送りたいか、家族はどんな姿を望んでいるかを起点に考える。今の症状やリスクだけを見るのではなく、「その子の物語」を一緒につくる視点を大切にし、選択肢を提示しながら、決断と挑戦に寄り添うことを使命としています。
なぜ小児訪問看護にこだわるのか
小児領域を重視するのは、「今の支援が、その子の10年後、20年後を変える」と宮崎が考えているからです。医療的ケア児だけでなく、発達や行動面に特性のある子どもたちにも積極的に関わり、家庭・学校・地域をつなぐハブとして機能することをめざしています。たとえば、学校や園の先生とオンラインで情報共有し、授業中の姿と家庭での様子を照らし合わせて支援方針を微調整するなど、「今」と「次のステップ」をつなぐ具体的な関わりを積み重ねています。
年功序列ではなく“正しい努力”を評価する仕組み
宮崎自身が「努力が見えにくい組織」で悩んだ経験から、ARIAでは評価基準をできるだけ言語化しています。たとえば、単なる残業時間ではなく、ケースカンファレンスでの提案内容、記録の質、家族との対話力などを指標として明示。1on1面談で「どの行動が評価につながったか」を具体的にフィードバックします。年次よりも、学び続ける姿勢とチームへの貢献を重視し、資格取得や研修参加も評価に反映。失敗も、きちんと共有し再発防止まで考えたプロセスを高く評価しています。
訪問看護未経験からの成長事例とリアルな失敗
訪問看護未経験で入職した看護師が、最初の壁として挙げるのは「一人でお宅に伺う不安」です。ARIAでは、初期は必ず複数同行とオンライン相談体制を組み、チャットでリアルタイムに先輩がフォロー。あるスタッフは、家族との温度差に戸惑い、ケアプランがうまく回らなかった経験を共有しましたが、そのケースカンファレンスを通じて「家族の未来像を最初に聞く」重要性を学び、その後はプランニングが大きく改善。失敗を個人の問題で終わらせず、チームの学びに変える文化が根づきつつあります。
宮崎が面談で見ているポイント
面談で重視しているのは、経歴よりも「対話の姿勢」と「変化を楽しめるか」です。具体的には、過去の失敗エピソードをどう振り返り、何を学んだかを丁寧に聞きます。また、「自分の価値観」と「大切にしたい看護観」を言葉にできるかも大きなポイントです。正解を求めるのではなく、率直にわからないことを認め、質問できるかどうか。訪問は一人で現場に入るからこそ、「1人で戦わない」ために、仲間とつながろうとする姿勢を重視していると宮崎は語ります。
SNS発信の活用法と、入社前にチェックしてほしいこと
ARIAでは、公式サイトやSNSで日々の支援の様子や考え方を積極的に発信しています。宮崎は「入社を検討する人ほど、SNSで理念への共感度を確かめてほしい」と話します。チェックのポイントは、①子ども・家族との関わり方が自分の価値観と合うか、②スタッフ同士の会話や雰囲気に安心感があるか、③学びや失敗も含めてオープンに語っているか、の3つ。オンライン上での情報を通じて、お互いのギャップを事前に減らし、「こんな職場で働きたい」と心から思えるかを見極めてほしいと考えています。