1. 「安全を守るフェンスが、街の“ワクワク”に変わるまで」——挑戦のはじまり
高速道路や公園のフェンス、落石防護網——創業以来、共和鋼業は「安心・安全」を支えるひし形金網をつくり続けてきました。一方で現場では、「視界を遮らず軽やかなこの素材で、もっと暮らしを楽しくできるのでは」という声が上がり始めます。そこで同社が選んだのは、土木資材としての枠を超え、デザインの世界に踏み出すこと。ひし形金網の柔軟性・強度・意匠性を武器に、「守る素材」から「心地よさとワクワクを生む素材」への挑戦がスタートしました。GOOD DESIGN賞や各種受賞歴は、その一歩一歩の証です。
2.ひし形金網を「編み直す発想」から生まれたGOOD DESIGN賞ニットフェンスの裏側
GOOD DESIGN AWARD2019 を受賞した「ニットフェンス」は、「工業用金網=硬くて無機質」というイメージを編み直したプロダクトです。網目10mm・線径2.0mmまで対応できる自社設備を活かし、まるで布地のようにしなやかで、表情豊かなフェンスを実現しました。開発では、「強度を保ちつつ、どこまで“ニットらしさ”を出せるか」という技術的なせめぎ合いが続きます。設計・製造・現場担当が何度もサンプルを見ながら、曲げやすさ・影の出方・触り心地を検証。土木の規格とデザイン性を両立させた点が評価され、金網の新しい可能性を世の中に提示しました。
3. 座る・集う・語り合う。JIDA選定NETBENCHが示した“土木資材”のその先
JIDAデザインミュージアムセレクションに選定された「NETBENCH」は、ひし形金網で「座る体験」をつくるプロジェクトです。落石防護網などに使われる高強度の金網を、あえてベンチとして活用。しなりと剛性のバランスを調整し、「座ったときに心地よく支えてくれる硬さ」を追求しました。屋外に設置されることを前提に、耐久性やメンテナンス性も検証しながら、街に開かれたコミュニケーションの場を提案。人が集い、語り合う風景までデザインしたことで、「土木資材=構造材」という発想を超え、空間やコミュニティを形づくる素材としての可能性を示しています。
4. X-Labという実験場:異業種・大学と編んだコラボプロジェクトのリアル
こうした挑戦を加速させているのが、社内に設けた実験的な場「X-Lab」です。ここではプロダクトデザイナーや建築家、大学・企業とのコラボレーションを通じて、ひし形金網の新たな用途を探求しています。学生とのワークショップでは、家具・照明・アート作品まで、多様なアイデアが試作へと発展。現場の職人が「この線径ならこういう曲げ方ができる」と技術的アドバイスを行い、デザイナーの発想と製造現場の知見が交差します。失敗も含めて試してみる文化があるからこそ、「そんな使い方があったか」と驚かれるプロダクトが次々と生まれています。
5. 「現場のひらめきがプロダクトになる」——アイデアを走らせ続ける社内カルチャー
共和鋼業には、「こうしたら面白いのでは?」という現場のひらめきが、そのまま企画の種になる風土があります。工場での試作や展示会での反応を踏まえて、X-Labがブラッシュアップし、営業が用途提案へとつなげていく。部門をまたいでアイデアが走り続けるのが特徴です。また、環境経営を掲げ、省エネルギーや廃棄ロス削減にも継続的に取り組んでおり、「安心・安全」と「ワクワクする暮らし」を両立させる意識が浸透しています。土木・建築・デザイン・環境といった複数の視点が交わる中で、自分の専門性を掛け合わせていけるのが、この会社で働く面白さです。
6.企画・開発志望者のための準備ノート①:作品・ポートフォリオを“現場目線”でまとめる
企画・開発に関わりたい人にまずおすすめしたいのが、「現場に届くポートフォリオ」の準備です。共和鋼業のように製造現場と近い会社では、作品の見せ方に次のようなポイントがあると伝わりやすくなります。
- 完成イメージだけでなく、「試行錯誤のプロセス」や失敗例も記載する
- 使う人・設置環境・メンテナンスなど、「どう現場で機能するか」を説明する
- 素材選定の理由や、量産を意識した工夫を書き添える
ビジュアルの美しさだけでなく、「どうつくるか」「どこで使われるか」を一緒に語れるポートフォリオは、現場と対話しながらモノづくりができる人としての説得力につながります。
7.企画・開発志望者のための準備ノート②:共創に強くなるインプット術と“好き”の言語化
異業種コラボやX-Labのような場で力を発揮するには、「共創に強いインプット」と「自分の好きの言語化」が重要です。日頃から、
- デザイン賞受賞作や建築・アートの事例を、素材・構造・使われ方の視点でメモする
- 街中のフェンスやベンチを観察し、「ここをひし形金網で変えるなら?」と妄想してみる
- 心が動いたモノ・空間を写真と一言コメントでストックする
といった習慣を持つと、自分の関心の軸が見えてきます。面接では、「安心・安全を支える素材が、暮らしの心地よさもつくる」という同社のビジョンに、自分の経験や好きなことをどう重ねられるかを言葉にしておくと、共創のパートナーとしてのイメージが具体的に伝わるはずです。