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【町工場が“業界のセーフティーネット”に?】事業承継で読み解くゴム業界の今と、安定性×成長性の見極め方

中小製造業の安定性 , 事業承継 , 工業用ゴム業界 , 後継者不足 , 金型引き継ぎ

2026.05.14

工業用ゴム業界で進む「後継者不足」と構造変化

工業用ゴム業界では、設備も技術も十分にありながら「後継者がいない」ことを理由に廃業する町工場が増えています。特に、長年使われてきた金型や図面、職人のノウハウが一度に失われると、部品供給が止まり、完成品メーカーまで生産リスクが波及します。加えて、顧客からの要求は高機能化・小ロット化・短納期化が進み、単に「作るだけ」の下請けから、提案力や柔軟な対応が求められる構造に変化しています。

「業界のセーフティーネット」としての事業承継・金型引き継ぎ

フコク産業は、廃業を決めた町工場から金型や仕事、場合によっては図面や治具ごと引き継ぎ、既存顧客への供給を途切れさせない役割を担っています。単に設備を買い取るのではなく、「顧客が同じ品質・条件で発注を続けられること」「引退する経営者が安心してバトンを渡せること」を重視している点が特徴です。このような事業承継は、自社の製品ラインアップ拡充と業界全体の安定供給を同時に実現する仕組みとして機能しています。

安定性×成長性を見極めるチェックポイント

ゴム・シリコーン関連企業を就職・転職先として見る際は、「規模」よりも次のようなポイントが重要になります。
・事業承継や金型引き継ぎに積極的か
・売上が特定の大口顧客に偏っていないか(顧客分散)
・長年の取引先や協力会社との関係が安定しているか
・ISO9001などの品質マネジメント認証の有無
・現場改善や5S活動が継続されているか
これらを組み合わせて見ることで、「安定性」と「成長性」のバランスをより立体的に把握できます。

フコク産業の事例に見る「安定性」の源泉

フコク産業は、1972年創業以来、工業用ゴム・シリコーン製品の製造を継続し、現在は八尾市の本社兼工場を拠点に少数精鋭のチームで生産を行っています。ISO9001を取得し、品質・コスト・納期・5Sを重視した体制を維持しながら、協力会社と分担してゴム練りなどの工程も最適化。取引先や協力会社とは、値上げ交渉も含めて長期的な信頼関係を築くスタンスで、「三方よし」を実践している点が、結果として不況期にも強い安定性につながっています。

シリコーン新分野開拓と「無茶ぶり大歓迎」の成長ドライバー

同社は、従来の産業用ゴムだけでなく、シリコーンを軸に医療・半導体・食品分野など新たな用途開発にも挑戦しています。特徴的なのは、「無茶ぶり大歓迎」という姿勢。他社に断られた案件についても、「どうやったらできるか」を代表が現場と一緒に考え、8~9割を形にしてきた実績があります。このチャレンジ文化が、単なる下請けにとどまらない「素材メーカー」としての進化や、自社商品の開発といった成長の源になっています。

代表のキャリアストーリーに見る中小製造業の“おもしろさ”

現代表の清水隆裕氏は、おでん屋台、飲食求人広告、パン屋といった異業種を経験した後に家業へ入り、赤字体質だった町工場の再生に取り組んできました。現場作業から営業、経営までを自ら経験し、「この会社を存続させ、盛り上げることは自分にしかできない仕事」と位置づけています。大企業のような分業体制とは異なり、中小製造業では一人ひとりの裁量が大きく、顧客や協力会社と直接向き合いながら、会社の方向性にダイレクトに関われる点が大きな魅力と言えるでしょう。