「売る営業」ではなく「つくる営業」
フコク産業の技術営業は、カタログ商品を売り込む「提案営業」とは少し違います。お客様からくるのは、「この機械に合うゴムパッキンを新しく作りたい」「食品ラインで使えるシリコーンが欲しい」など、世の中にまだ存在しないものや、図面もない状態の相談が中心です。
そこで技術営業は、お客様の課題を聞き出し、材質・形状・硬さ・数量・コストなどをすり合わせながら、社内の製造メンバーや協力会社と一緒に「どう作るか」を組み立てていきます。つまり、営業でありながら、設計~試作~量産までのプロセスを一気通貫でリードするのが特徴です。
1件の問い合わせが形になるまでの流れ
1. 「こんなゴムできる?」のヒアリング
最初の仕事は、要望を「技術的に使える情報」に変換することです。例えば:
- どんな用途で使うのか(医療機器、食品設備、半導体装置など)
- 温度・圧力・薬品など、どういう環境なのか
- 既存品でどんな不具合が出ているのか
ここでの質問の質が、その後の品質やコストに直結します。
2. 社内・協力会社とのすり合わせ
集めた情報をもとに、製造現場や材料メーカー、金型メーカーと打ち合わせます。「この硬度なら成形条件はどうするか」「既存金型が流用できないか」といった検討を重ね、試作条件や見積り案を組み立てていきます。
3. 試作・評価・改良
試作品ができたら、お客様に実際のラインで使ってもらい、結果をフィードバックしてもらいます。摩耗が早い、取り付けがしにくい、コストが合わない――そうした声をもとに、配合や形状を微調整。技術営業はここでも、現場の意見とお客様の要望をつなぐ「通訳」の役割を担います。
4.量産・安定供給へ
仕様が固まったら量産へ。品質・納期・コストが安定するよう、生産体制を社内外で調整します。フコク産業はISO9001認証を取得しており、町工場でありながら品質管理の仕組みも整っているのが強みです。
実際の案件例:医療・食品・半導体でのケーススタディ
医療分野:シリコーン部品の素材提案
医療機器メーカーから「薬液に強く、長期使用できるシリコーンが欲しい」という相談がありました。技術営業は薬液の種類や滅菌方法を詳細にヒアリングし、複数グレードのシリコーンを提案。現場と一緒に試作・評価を繰り返し、耐久性とコストのバランスが取れた仕様に落とし込みました。
食品分野:既存設備を止めないためのゴム足改良
食品工場からは、「機械の振動でラインがブレる」という悩みが寄せられました。現場を確認し、荷重・床材・洗浄方法をヒアリング。防振ゴムの硬度と形状を見直し、洗浄でも傷みにくい材質に変更することで、設備を止めずに安定稼働を実現しました。
半導体分野:クリーンルーム向けパッキン
半導体関連では、微細なゴミやアウトガスが問題になります。技術営業はクリーンルームのクラス、温度条件、使用薬品を確認し、低アウトガスの材料を選定。協力会社と連携して試作し、厳しい評価をクリアするまで細かな条件調整を続けました。
「文系だけど大丈夫?」「図面は読めないとダメ?」Q&A
Q. 文系出身でもできますか?
A.可能です。実際、図面もゴムも未経験でスタートした技術営業が1年ほどで案件を任されるようになっています。必要なのは、「分からないことを素直に聞く力」と「お客様の困りごとを理解しようとする姿勢」です。
Q. 図面が読めないとダメ?
A. 入社時点では読めなくても問題ありません。寸法の見方、断面図の考え方、ゴム特有の公差などは、実物の製品や金型に触れながら少しずつ覚えていきます。むしろ「モノを触りながら覚える」スタイルなので、座学より現場派の人に向いています。
入社1年目が身につける“技術営業の3つの武器”
フコク産業の技術営業として、入社1年目で特に大きな成長につながるのは次の3つです。
- ヒアリング力:用途・環境・課題を引き出し、「単なる要望」を「仕様」に変える力。
- 翻訳力:お客様の言葉を技術用語に、現場の言葉をお客様向けにかみ砕いて伝える力。
- 巻き込み力:社内の製造メンバー、協力会社、お客様を同じゴールに向けて動かす力。
どれも、最初から高度な技術知識が必要なわけではありません。お客様とモノづくりの現場の「間」に立ち、ゴムのように柔軟に形を変えながら、最適な着地点を探していく。そのプロセス自体を楽しめる人にとって、フコク産業の技術営業は大きなやりがいを感じられる仕事と言えます。