「無茶ぶり大歓迎」はなぜ生まれたのか
フコク産業の清水隆裕社長は、「無茶ぶりを引き受けることが、うちの存在意義」と言い切ります。創業以来50年以上、工業用ゴム・シリコーン製品をつくり続けてきた中で、顧客からの相談は「他社で断られた」「納期が厳しい」「図面がない」といった難題ばかり。それでも「どうしたらできるか」を考え抜き、協力会社とチームを組んで形にしてきた経験が、このスタンスを生みました。無茶ぶりとはいえ、やみくもに何でも受けるのではなく、「技術的に筋が通るか」「将来の糧になるか」を見極めて挑むのがフコク産業流です。
4代目社長が受け継いだプレッシャーと決意
社長に就任したのは2022年。清水社長は赤字期も含めて現場・営業・品質管理のすべてを経験し、「畳ませない」という覚悟で事業承継を決めました。上場や急成長よりも、「100年、200年と続く会社」をゴールに据えているのが特徴です。プレーヤーとして現場に入り続けることで、経営判断が机上の空論にならないよう意識。「現場が回らない決定はしない」「社員と一緒に汗をかく」が口ぐせで、経営と現場の距離をあえて近く保っています。
廃業予定の町工場から仕事を引き継ぐ理由
フコク産業のユニークな取り組みが、廃業予定の同業から金型・仕事・技術を引き継ぐことです。設備はあるのに後継者がいない工場が増える中、「ここで終わらせたくない」という思いを受け止めています。引き継ぎでは、単に金型を移すだけでなく、製造条件やノウハウも細かく聞き取り、顧客の品質を維持できる体制を構築。経営者にとっては大切な仕事の“行き先”が決まり、顧客にとっては供給が途切れない。フコク産業にとっては新たな技術と取引先が増える、三方よしの取り組みです。
医療・半導体・BtoC…これからのチャレンジ
今後は、これまで培ったゴム・シリコーン加工の技術を、医療・半導体・食品など高付加価値分野へ広げていく構想があります。クリーンさやトレーサビリティが求められる分野でも、ISO9001に基づく品質管理の強みを活かせると見ています。また、BtoC・クラウドファンディングを通じた自社商品の開発にも本気で取り組み中。「下請けの町工場」から、「自ら市場に提案する素材メーカー」へ変わることで、会社の寿命をさらに伸ばしたいというのが清水社長の狙いです。
実際にどんな“無茶ぶり案件”をこなしてきたのか
具体的には、次のような相談が寄せられてきました。
・廃業する工場から金型ごと製品を移管し、短期間で量産を再開してほしい
・図面も現物も古く、材質不明のゴム部品をリバースエンジニアリングして再現してほしい
・金属やガラスとの焼付け、異素材との組み合わせで新しい製品を試作したい
こうした案件では、社長自らが現場に入り、協力会社約10社とも連携して配合や硬度を調整。試作→評価→改良のサイクルを細かく回しながら、「他社では無理と言われた」を「できた」に変えてきました。
社長との相性を見極めるためのチェックポイント
清水社長のもとで働くうえで、相性を測るポイントはシンプルです。
・「決まりきった作業」より「考える仕事」が好きか
・他部門の仕事にも首を突っ込んで学びたいか
・知らないことを「知らない」と言い、聞きにいけるか
社長は、完璧なスキルよりも「素直さ」と「変化を楽しめるか」を重視します。一方、マニュアル通り・指示通りだけで進めたい人にとっては、変化が多くしんどく感じる場面もあるかもしれません。その意味で、自分の価値観とスタイルを一度整理してから見ると、相性が判断しやすくなります。
応募前に見ておきたい“フコク産業らしさ”のポイント
フコク産業を理解するうえで、押さえておきたいのは次のような点です。
・小規模だからこそ、現場・営業・品質にまたがって関われる
・協力会社との「チーム型ものづくり」で、一社ではできない提案ができる
・QCDと5Sを大切にしつつ、「無茶ぶり歓迎」で常に新しい仕事が入ってくる環境
「ゴムの特性のように、形を変えながら社会にフィットし続ける会社でありたい」という社長の言葉どおり、変化と安定が同居した町工場です。その“揺れ”を前向きに楽しめるかどうかが、フコク産業とあなたの相性を測るひとつの物差しになるはずです。