「無茶ぶり大歓迎」はいつから始まった?―代表が家業に戻る決断と工場再生の出発点
清水隆裕が家業に戻ったのは、飲食や求人広告、パン屋など異業種を経験した後でした。外から見れば「昭和の町工場」。利益は出にくく、このままでは先行きが見えない状況。そこで清水が決めたのが、「どうせやるなら、この工場をもう一度面白くする」ということでした。現場に入り、赤字体質の原因を一つずつ洗い出しながら、お客様との会話を増やす中で見えてきたのが、「他社で断られた仕事が行き場をなくしている」現実です。そこで掲げたのが「無茶ぶり大歓迎」。難しい案件をあえて受けることで、技術を磨き、選ばれる理由をつくる工場再生がスタートしました。
他社で断られた図面が集まる工場――フコク産業流・無茶ぶり案件のさばき方
フコク産業には、「3社に断られた図面なんですが…」という相談が日常的に届きます。精度が厳しいパッキン、特殊な形状のシリコーン部品、数量が読めない試作など、合理的に考えれば断るのが正解かもしれない仕事です。同社がまず行うのは、「できません」と言う前に、前提条件を分解して考え直すこと。材質変更、金型構造の工夫、協力会社との工程分担など、複数の選択肢をテーブルに並べ、現場と代表が一緒になって「どうすれば実現できるか」を詰めていきます。その結果、「完璧ではないが、これならいける」という現実解を導き、お客様から次の相談につながっていきます。
ゴムだけじゃない“考える町工場”へ――医療・半導体・食品分野への広がりの舞台裏
創業以来の主力は工業用ゴム・シリコーンですが、現在は医療・半導体・食品関連の相談も増えています。きっかけは、「この用途に使えるゴムはないか」「シリコンで安全性を高めたい」といった現場発の声でした。フコク産業は、自社だけで抱え込まず、ゴム練りや特殊材料に強い協力会社とチームを組むことで、新しい分野の要求に応えています。例えば、クリーン度が求められる半導体向け部品や、食品接触に配慮したシリコーンパーツなど、単なる“加工屋”ではなく、「どの素材と工法なら、現場の課題を解決できるか」を一緒に考えるパートナーへと役割を広げています。
清水代表が語る「うちに来たらこう育つ」――未経験OKの成長ステップと任され方
清水は、「ゴムも製造業も、最初から分かっている人はいない」と話します。フコク産業の育成は、いきなり全工程を教えるのではなく、まずは一つの工程を丁寧に覚え、そこから周辺の作業・品質の見方へと視野を広げるステップ型です。特徴的なのは、「任せるスピード」。小さな工場だからこそ、工程改善のアイデアや段取り変更の提案が、そのまま現場で試されることが多く、「自分の意見でラインが変わる」実感を得やすい環境です。未経験でも、図面の読み方、材質の違い、コスト感覚まで、日々の会話の中で実務ベースに身につけていけるのが強みと言えます。
「無茶ぶりを楽しめる人」とは誰か?――代表が現場を見て感じた活躍人材の共通点
清水が「活躍している」と感じる人材には、いくつかの共通点があります。・できない理由より、先に「やってみます」と言える・わからないことをそのままにせず、素直に質問できる・図面の向こう側の「使う人」を想像できる「無茶ぶり」とは、単なる無理難題ではなく、「まだ社内に前例がない仕事」です。そこで、「前例がないから面白い」「どうしたら実現できるかを考えるのが楽しい」と思える人ほど、短期間で大きく成長していきます。完璧なスキルより、変化を面白がる姿勢こそ、フコク産業にフィットする要素と言えるでしょう。
応募前にこれだけは見てほしい――工場見学でチェックすべき“リアルな3つのポイント”
清水は、「応募を考える人には、できるだけ現場を見てほしい」と話します。工場見学でチェックしてほしいポイントは、次の3つです。1. 作業場の雰囲気…黙々としつつも、声かけや相談がしやすい空気かどうか。2. 段取りや片付け…5Sが保たれているかは、安全性と働きやすさの指標になります。3.代表や社員との距離感…質問したときの答え方や、現場との会話量を見てください。図面や製品だけではわからない「リアル」が、現場にはあります。その空気を自分の目で確かめ、「このチームでなら、無茶ぶりを一緒に楽しめそうか」を感じ取ってもらうことが、ミスマッチのないスタートにつながります。