両足セット販売への違和感から始まった創業ストーリー
株式会社DIFF.代表・清水雄一が出発点としたのは、「なぜ靴は必ず両足セットなのか」という素朴な違和感です。左右で足のサイズが違う人が一定数いるにもかかわらず、業界全体が「それでも両足同じサイズを買うもの」として成立している現状に、強い矛盾を感じました。
清水は、体の痛みを我慢するか、合わない片足を捨てて財布を痛めるか、という二択しかない状況を「しょうがない」で済ませないことを決意。2022年、大阪でDIFF.を創業し、片足販売と3Dプリントを軸にした新たな仕組みづくりに踏み出しました。
20人に1人が抱える「合う靴がない」という現実
左右で足のサイズが異なり、市販の靴ではフィットしない人は、およそ20人に1人と言われます。彼らは、
・どちらか一方の足を我慢して履く
・中敷きやパッドで無理に調整する
・サイズ違いの靴を2足購入し、片方を捨てる
といった選択を迫られています。
清水が問題視するのは、こうした不便さが「特別な事情」ではなく、声にならないまま日常に埋もれていることです。DIFF.は、この見えにくい不公平を、ビジネスの仕組みそのものを変えることで解消しようとしています。
片足販売はなぜビジネスとして成立し得るのか
片足販売の実現には、「在庫管理」と「収益性」という2つの壁があります。従来は両足セットを前提に物流・倉庫・販売システムが組まれており、片足単位でバラす発想自体がありませんでした。
DIFF.は、最初から「片足」を最小単位とした在庫・物流設計を行うことで、左右別サイズの組み合わせでも無駄な在庫を生まないモデルを構築しようとしています。また、デジタル管理により需要データを蓄積し、サイズや左右差の傾向を学習させることで、仕入れや生産量の最適化を図ります。こうしてコスト増を抑えつつ、新しい付加価値としての「本当に合う一足」を提供する構想です。
足の機能を守る3Dプリントシューズの技術的背景
DIFF.が注力する3Dプリントシューズは、単なるカスタムデザインではなく、「足の機能を守る」ことを目的としています。足型のデータや荷重バランス、歩き方の特徴などをデジタル情報として扱い、それに合わせたミッドソールやアッパー構造を設計する発想です。
3Dプリントの強みは、必要な箇所に必要なだけ素材を配置できる点にあります。クッション性を高めたい部分、剛性を持たせたい部分を細かく制御し、従来の金型前提の大量生産では難しかった微調整を可能にします。これに片足販売の仕組みを組み合わせることで、「左右で構造が異なるシューズ」という新しいカテゴリを視野に入れています。
今後5年で描く世界観と事業の広がり
清水が今後5年で見据えるのは、「左右の足が違うことが前提のシューズ選び」が当たり前になる世界です。店舗やECでサイズを選ぶとき、左右それぞれのサイズやフィット感を指定できる状態を、特殊なサービスではなく標準仕様にしたいと考えています。
3Dプリント技術の進化とあわせて、
・医療・リハビリ分野との連携
・スポーツ領域でのパフォーマンス向上支援
・キッズ・シニア向けの機能性シューズ
などへの展開も構想にあります。足の個性を前提にしたプロダクト設計を通じて、「諦めるしかない」を前提としない市場をつくることが、DIFF.の描く未来像です。
入社1〜3年で担う可能性のあるミッション例
DIFF.では、入社初期から事業づくりそのものに関わる機会があります。例えば、
・片足販売を前提とした在庫・物流フローの設計と改善
・ユーザーインタビューを通じたペルソナ設計とプロダクト要件定義
・3Dプリントシューズの試作品検証とフィードバックの構造化
・新規パートナー企業との協業スキームの立案
といったミッションが想定されます。役割は職種によって異なりますが、共通して求められるのは、「諦めてきた不便さ」を丁寧に言語化し、それを解消する仕組みへと落とし込む視点です。
当たり前を疑う人が事業づくりにどう関われるか
DIFF.での働き方は、「正解のない領域で問いを立て続けること」が軸になります。一定の答えが決まった業務プロセスを回すより、
・ユーザーの声を直接聞きに行く
・小さく試すプロトタイプをつくる
・うまくいかなかった前提を見直す
といったサイクルを高速に回すスタイルです。
左右で足の大きさが違う人の痛みや不便さに想像力を働かせ、「本当はこうだったらいいのに」をビジネスとして成り立たせることに関心がある人ほど、日々の業務を通じて自分のキャリアと事業成長を重ね合わせやすい環境と言えるでしょう。