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「片方ずつ買えるシューズ」が生まれた理由――創業ストーリーで知るDIFF.の挑戦とこれから

3Dプリント活用 , インクルーシブなものづくり , フットウェア課題 , 左右サイズ違い , 片足販売システム

2026.06.17

「合う靴がない」現実に気づいた、ひとりの違和感

株式会社DIFF.の清水雄一が最初に向き合ったのは、「左右の足の大きさが違う人は、我慢するしかない」という静かな前提でした。店頭では両足セットでの販売が当たり前。片足だけサイズが合わない人は、中敷きで調整したり、痛みを受け入れたり、無意識に諦めを選ばされています。清水は身近な人の悩みや、20人に1人は左右差があるというデータに触れ、「これは個人の問題ではなく、仕組みの問題だ」と捉え直しました。ここから、「片方ずつ買えるシューズ」という発想が生まれていきます。

シューズ業界の「当たり前」を疑うところから始まった

創業前に清水が直面したのは、「両足セットで管理・販売するのが当たり前」という業界構造でした。倉庫管理、在庫リスク、売場設計、すべてがペア販売を前提に組み立てられています。この前提に乗ったままでは、左右サイズ違いの人に本質的な解決策は届けられません。DIFF.はあえてこの前提そのものを問い直し、「片足単位で管理し、左右別サイズで販売する」というロジックから事業を設計しました。ビジネスモデルの工夫で、ユーザーの“諦め”を解消できると考えたのです。

20人に1人の悩みを、マジョリティの視点で終わらせない

左右で足の大きさが違う人は、およそ20人に1人と言われます。統計上は少数派でも、「たまたま少ない側だから仕方がない」と片づけてよい問題ではありません。DIFF.が重視したのは、数よりも「生活への影響」の大きさです。合わない靴は、痛みや疲労だけでなく、姿勢やパフォーマンスにも悪影響を与えます。さらに、“合う靴を求めると財布が痛む”という二重苦も生まれます。この構造を変えない限り、本人の努力ではどうにもならない。そこに、事業として取り組む意味を見出しました。

3Dプリントを選んだのは「足を守る機能」から逆算したから

DIFF.が3Dプリントシューズ事業に踏み込んだのは、単なる流行のテクノロジーだからではありません。目的は一貫して「足の機能を守ること」。そのために、形状の微調整や個別最適がしやすい製造方法が必要でした。3Dプリントなら、左右別サイズはもちろん、将来的には足の特徴に合わせた設計も拡張しやすくなります。大量生産・大量在庫モデルでは実現しづらい柔軟さを持ちながら、片足単位での供給にもフィットする。この“当たり前を変える”という思想と、製造技術の特性が噛み合った結果の選択でした。

「しょうがない」を前提にしない価値観が、意思決定を導く

DIFF.の根底にあるのは、「諦めを前提にしない」という価値観です。両足セット販売という慣習に対しても、「なぜそうなっているのか」「本当に変えられないのか」を一度立ち止まって考えます。この姿勢は、プロダクト仕様や価格設定、在庫の持ち方など、日々の意思決定にも反映されています。例えば、運用が複雑になるとわかっていても片足販売にこだわるのは、ユーザーが痛みかコストかの二択を迫られる状況を放置しないためです。ビジネス上の合理性だけでなく、「それは本当にユーザーにとってフェアか」という問いが常に軸にあります。

どんな人がDIFF.で力を発揮しやすいかを考える視点

DIFF.で成長しやすいのは、課題を「個人の我慢」ではなく「仕組みの問題」と見なせる人です。たとえば、次のような問いに自分なりの答えを持てるかどうかが、一つの目安になります。

  • 世の中で「しょうがない」とされていることを、本当にそうかと疑った経験があるか
  • 少数派の不便や痛みに想像力を向け、自分ごととして考えられるか
  • 正しさと現実的な制約の間で、粘り強く折り合いを探ったことがあるか
  • 前例のない仕組みづくりに、面白さと責任の両方を感じられるか

これらの問いに向き合うことが、DIFF.のような環境で働くイメージを具体化する手がかりになります。