採用メディア発信サイト

仕事のこと

3Dプリントシューズ開発の裏側:プロダクトエンジニアとデザイナーは毎日なにを話しているのか?

3Dプリント試作 , デザインと機能の両立 , パーソナライズドシューズ , ユーザーインサイト , 歩行データ解析

2026.05.19

「片足ずつフィットさせる」ための役割分担

3Dプリントシューズ開発では、デザイナーとプロダクトエンジニアが明確に役割を分担しつつ、かなり密に行き来しています。
デザイナーは、見た目のバランスだけでなく「左右で形が違っても美しく見えるか」を考え、アッパーやソールのシルエット、質感、ラインを設計します。
一方、エンジニアは足の計測データや歩行解析をもとに、「足の機能を守るために必要な厚み・しなり・硬さ」を数値として定義。
両者は「左と右が違っても同じシリーズとして成立するか」「機能要件を壊さずにどこまで細く・薄くできるか」といったポイントで、日々すり合わせを行っています。

会議メモから見える、デザインと機能のせめぎ合い

ディスカッションの典型的なメモには、次のようなフレーズが並びます。
・「このラインを5mm上げると、母趾の当たりが強くなる」
・「見た目は良いが、左右差が大きいユーザーで段差が目立つ」
・「土踏まずの支えを残したまま、陰影で軽く見せたい」
デザイナーは「一本の線」「一つの面」の印象を語り、エンジニアは「圧力分布」「ねじれ量」といった定量指標で返します。
最終的には、試作品写真(3Dプリント直後の白モデルなど)を見ながら、「この段差は許容か?」「履いたときの影の出方は?」を確認し、次の試作条件を決めています。

3Dプリントならではの爆速試作サイクル

従来の靴づくりと比べ、3Dプリントの強みは「作り直しコストの低さ」です。
DIFF.では、会議で決まった修正案をその日のうちに3Dデータへ反映し、翌日には物理モデルでチェックする、といったサイクルも日常的です。
・0.5mm単位の厚み調整
・局所的な格子構造のパターン変更
・左右で異なるクッションゾーンの比較
といった“普通なら一度では検証しきれない”案を、同時に複数パターン出しながら検証可能。
これにより、「足の機能を守る構造」と「理想のデザイン」の妥協点ではなく、両立点を地道に探っています。

ユーザーの声を仕様に落とすプロセス

ユーザーインタビューでは、「親指の付け根だけ痛い」「右足だけかかとが浮く」といった、かなりピンポイントな違和感が出てきます。
デザイナーとエンジニアは、それらを感覚的な言葉のままにせず、次のように分解します。
・痛みの位置 → 足型データ上の座標
・「きつい/ゆるい」 → 圧力値・変位量
・「重く感じる」 →体重移動のタイミング
その上で、「右足だけヒールカップを高くする」「左足だけ中足部の剛性を上げる」など、左右非対称を前提にした仕様へ変換。
会議メモでは、ユーザーIDと計測データ、変更前後の3Dモデルキャプチャが並び、再現性のある“設計ルール”として蓄積されていきます。

この仕事に向く思考パターン

プロダクトエンジニア・デザイナー共通で求められるのは、「当たり前を疑いながらも、ユーザーの身体感覚に徹底的に寄り添う」姿勢です。
特に向いているのは、
・左右で違う形でも「それがその人の当たり前」と受け止められる
・美しさと安全性のどちらか一方だけでは満足できない
・仮説を立てて、データと観察で検証するのが好き
といった思考パターンの人。
「しょうがない」とされてきた違和感に対し、「なぜそうなるのか?」「どこまで減らせるか?」を粘り強く考え続けられることが、3Dプリントシューズ開発では大きな武器になります。

ポートフォリオ・GitHubで評価されやすいポイント

応募時のアウトプットでは、「つくったもの」そのものだけでなく、「どう考え、どう検証したか」が伝わる構成が有効です。
・ユーザーの課題定義と、それを裏付ける情報
・複数案を比較検討したプロセス(ボツ案も含む)
・数値評価やユーザーテストから得た学び
・そこから導いた設計ルールや次の仮説
エンジニアであれば、GitHubのREADMEに「設計意図」「検証ログ」「失敗例」を残しておくと、思考の深さが伝わりやすくなります。
デザイナーであれば、完成ビジュアルだけでなく、3Dモデルの断面図や、履き心地を言語化したコメントを添えることで、「足の機能を守るデザイン」を志向していることを示しやすくなります。