片足ずつ売るサービスを企画するということ
株式会社DIFF.は、「シューズは両足セットで売るもの」という前提をひっくり返し、左右別サイズで片足ずつ買える仕組みづくりに挑戦している会社です。プロダクト企画職が向き合うのは、「20人に1人は、合う靴がない」という現実。単に新しい靴を増やすのではなく、「しょうがない」で済まされてきた不便と痛みを、どうやって具体的なサービスに落とし込むかが仕事の中心です。
プロダクト企画職の1日の流れ
10:00〜 データチェックと仮説づくり
出社して最初に開くのは、メールよりもダッシュボード。・左右のサイズ差が大きいユーザーの割合・どのサイズ組み合わせがよく売れているか・返品理由や問い合わせ内容といった数値やテキストデータを見ながら、「どんな不便が残っているか」を洗い出します。
例えば、「右25.0/左24.0」の組み合わせの返品率が高いとわかったら、「そもそも足長の測り方が難しいのでは?」「甲の高さや幅の情報も必要かも?」といった仮説をメモツール(NotionやGoogleドキュメントなど)にどんどん書き出します。
11:00〜 社内ミーティングでアイデアをすり合わせ
次に、代表やエンジニア、デザイナーとオンライン・対面を組み合わせたミーティング。ここでは、企画職がまとめた「課題リスト」と「仮説」をベースに、優先度を決めていきます。
例として、「足の計測フローを変える」プロジェクトなら、・どんな画面ならユーザーが迷わないか(デザイナー)・サイズデータをどう保存・解析するか(エンジニア)・3Dプリント靴との相性はどうか(プロダクト全体)をディスカッション。企画職はモデレーター兼「ユーザー代表」として、「それ、本当に左右サイズ違いの人にとって使いやすい?」という視点で問い続けます。
13:00〜 顧客インタビューと打ち合わせメモ
午後は、実際に左右差のあるユーザーへのインタビュー。「今までどんな靴選びをしてきたか」「何を諦めてきたか」「DIFF.を使ってどう変わったか/変わらなかったか」を深掘りし、すべてメモや録音で残します。
打ち合わせメモには、単なる発言の記録だけでなく、気づきも併記します。・「痛いけど、仕事だから我慢してます」という言葉 → 「痛みを我慢するのが当たり前」という文化的前提がある・「同じ靴を2足買って左右だけ組み替えてました」→価格面の負担も課題こうした「見えない前提」を可視化し、次の企画のタネにします。
15:00〜 プロジェクト事例:サイズ提案アルゴリズム改善
具体的なプロジェクト例として、「サイズ提案アルゴリズムの改善」があります。ログデータをもとに、「この足長・足幅の人には、このサイズ組み合わせが合いやすい」というパターンを抽出し、提案ロジックを更新していく仕事です。
ここで使うツールは、スプレッドシートやBIツール(例:Looker Studioなど)、場合によっては簡単なSQL。エンジニアが組んだ集計結果を見ながら、「この提案は、実際に左右差が大きい人にとって直感的か?」「片足だけサイズを変えた結果、価格や在庫はどう影響するか?」を検証し、ABテストの設計にも関わります。
17:00〜 振り返りと次の一手の設計
1日の終わりには、その日に得た気づきを短く振り返り、「明日検証したいこと」を整理します。・次のユーザーインタビューで必ず聞きたい質問・エンジニアに相談したい仕様の不安点・代表に確認したい事業的インパクトなどをタスク管理ツール(例:Trello、Asanaなど)に落とし込み、常に「仮説 → 検証 →学び」のサイクルを回し続けます。
この仕事ならではのやりがい
プロダクト企画職の面白さは、「体の痛みか、財布の痛みか、どちらかを選ぶしかなかった人」の選択肢を増やせるところにあります。「自分に合う靴を望んではいけない」と思っていた人が、「こんな買い方があったんだ」と気づく瞬間を設計する仕事とも言えます。
単に売上やPVを追うのではなく、「当たり前を問い直す」ことそのものが日々の業務の中心になっている点も、この仕事の大きな特徴です。
未経験から目指す人が今やっておくといいこと
1. データと向き合う練習
難しい統計の前に、スプレッドシートで「数字からストーリーを読み解く」練習がおすすめです。・ある期間の売上やアクセス数の推移をグラフ化する・なぜ増減したのか、3つ以上の仮説を書き出すこの習慣があると、プロダクト企画の思考に早くなじみやすくなります。
2. 不便に敏感になる
自分や身近な人が「まあ、しょうがないか」と流している不便を、あえてメモしてみてください。・どうしてそれが起きているのか・もし変えるとしたら、どんな仕組みが必要かを考えるのは、企画のトレーニングになります。
3.伝え方の練習
選考の場では、「華やかなアイデア」よりも、「どんな不便に気づき、どう変えたいと思ったか」が伝わると差がつきます。・自分や家族、友人の「諦めていること」・それを変えたいと思ったきっかけを、具体的なエピソードとして話せるように準備しておくと、言葉に説得力が出てきます。
「当たり前」を疑うところから始まる仕事
片足ずつ売るプロダクト企画は、派手なアイデア勝負ではなく、「本当に困っている人はどこにいるか」「その人は何を諦めているか」を丁寧に探し続ける仕事です。シューズ業界の前提を疑い、「20人に1人」のための仕組みをつくるプロセスに興味があるなら、日常の「しょうがない」に敏感になるところから、すでにその仕事は始まっています。