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【創業ストーリー】なぜ“片足ずつ買えるシューズ”に人生をかけたのか?代表・清水が語るDIFF.誕生の裏側

3Dプリント靴 , スタートアップ創業 , フットウェアD2C , 左右サイズ違い , 片足販売システム

2026.03.30

「痛み」か「お金」かを選ばされるおかしさ

――左右で足のサイズが違う人って、どれくらいいるんでしょう?

清水:統計的には、だいたい20人に1人と言われています。しかも、多くの人は「自分だけかも」と思い込んでいて、誰にも相談しない。結果として、「少し痛いけど我慢して履く」か、「片方は捨てる前提で、サイズ違いを2足買う」かの二択を迫られているのが現状です。

――どちらを選んでも納得感がないですね。

清水:そうなんです。体の「痛み」か、財布の「痛み」か。なぜどちらかを諦めないといけないのか。この違和感が、DIFF.の原点になりました。

常識だった「両足セット販売」を疑ってみた

清水:シューズって、ほぼすべてが「左右セットで売る」ことを前提に設計されています。店舗の在庫管理も、物流も、ECサイトのシステムも。でも、冷静に考えると「片足ずつ売れない理由」は、本当はほとんどないんですよね。

――それでも業界全体が変わらないのはなぜでしょう?

清水:誰も「当たり前」を疑わないからです。左右セット販売は、効率はいいけれど、足が左右違う人にとっては不便な仕組み。そこで、「片足単位で管理できる仕組み」をつくれば、世界はけっこう変わるんじゃないかと考えました。

3Dプリントシューズという答えにたどり着くまで

清水:最初から3Dプリントシューズに行き着いたわけではありません。既存メーカーの靴を左右バラして販売できないか交渉したり、小ロットでサイズ別に発注する方法を探したり、かなり泥臭い試行錯誤をしました。

――うまくいかなかった?

清水:在庫リスクや製造ロットの制約が大きくて、「片足販売」を前提にしたビジネスモデルに乗り換えてもらうのは、スタートアップ一社では難しかったんです。そこで発想を逆転して、「そもそも左右バラバラに作れる靴」をゼロから設計しようと考えました。その答えが、足の機能を守る3Dプリントシューズでした。

――3Dプリントなら、片足ごとに作れる。

清水:はい。片足ずつデータ管理して、必要なときに必要な分だけ生産できる。ユーザーは左右で違うサイズ、もしくは違う仕様を選べる。こうして、2022年10月26日に株式会社DIFF.を立ち上げ、本格的に事業化を進めてきました。

0→1フェーズならではのリアルと、ささやかな成功体験

清水:創業初期は、本社所在地の大阪・梅田の小さなオフィスで、文字通り手探り状態でした。3Dプリントの試作品は何度も壊れますし、「片足だけ欲しい」というニーズを証明するために、ヒアリングも数えきれないほど行いました。

――やめようと思ったことは?

清水:正直、あります。でも、ユーザーさんに「人生で初めて、両足ともぴったりの靴を履けました」と言われたとき、全部報われた気がしました。「しょうがない」と諦めていた人の表情が変わる瞬間を見て、これは事業として必ず形にしようと決めました。

DIFF.で活躍できる人の共通点

清水:華やかなスタートアップ像とは少し違って、DIFF.の仕事は地味な作業もとても多いです。左右で足が違う人の不便や痛みに、本気で想像力を向けられる人でないと、続けるのは難しいかもしれません。

――どんな価値観の人と一緒に働きたいですか?

清水:「諦めるしかない」とされている状況を、そのまま受け入れない人ですね。「なんでこうなっているんだろう?」と疑問を持ち、自分なりの解決策を考えられる人。当たり前を疑うことを、面倒くさがらない人は、0→1フェーズの環境で強いと思います。

入社前に知っておいてほしいDIFF.の“リアル”チェックリスト

清水:美談だけを並べても、現実とのギャップが生まれてしまいます。DIFF.に関わるかどうかを考えるときは、次のようなポイントを、自分に問いかけてみてほしいです。

  • 「左右で足が違う人のために」というテーマに、本気で共感できるか
  • まだ正解がない状態でも、自分で仮説を立てて動けるか
  • 当たり前を疑い、仕組みそのものを変える仕事にワクワクできるか
  • 小さな改善や試行錯誤を積み重ねる根気強さがあるか
  • 誰かの「痛み」を、自分ごとのように想像できるか

「しょうがない」を減らすために

清水:片足ずつ買えるシューズというアイデアは、一見ニッチに見えるかもしれません。でも、その裏側には、「しょうがない」で片づけられてきた無数の痛みがあります。大阪・梅田の小さなオフィスから始まったDIFF.は、足のサイズの話だけでなく、「当たり前を問い直す」文化そのものを広げていきたいと考えています。

まだ小さなスタートアップですが、「体の痛み」か「お金の痛み」かを選ばされる人を、一人ずつ減らしていく。その積み重ねの先に、シューズの世界の“当たり前”が静かに書き換えられていくと信じています。