「伸びる業界」より、“誰も解決していない困りごと”を見る
就活や転職でよく聞くのが「伸びる業界を選べ」というアドバイスです。ただ、本当に狙い目なのは、すでに注目されている巨大市場よりも、「困っている人は確実にいるのに、まだ誰もちゃんと解決していない」ニッチな課題かもしれません。
株式会社DIFF.が取り組む「20人に1人が直面する“合う靴がない”問題」は、その典型的な例です。ここから、ニッチ市場の見つけ方や、仕事のチャンスの見極め方を具体的に整理してみます。
ケース:20人に1人の「合う靴がない」課題
シューズは基本的に「左右同じサイズ、両足セット」で売られています。しかし実際には、左右で足の大きさが違う人は少なくありません。20人に1人とも言われ、決してレアケースではないのに、多くの人は次のような“どちらかの痛み”を受け入れています。
- サイズが合わない靴を履き続けて、体の痛みを我慢する
- サイズ違いで複数購入し、財布の痛みを我慢する
DIFF.は、「靴は両足セットで売るもの」という業界の前提を疑い、片足ずつサイズを選べる販売方法や、足の機能を守る3Dプリントシューズというテクノロジーで、この“諦め”に挑んでいます。
ニッチ市場を見つける3つの視点
1. マーケットの大きさ:パーセンテージではなく「人数」で見る
「20人に1人」と聞くと「小さいニッチ」に思えますが、日本の人口で考えるとどうでしょうか。仮に数パーセントでも、何十万人、何百万人という規模になり得ます。就活・転職では、ニュースで話題の巨大市場だけでなく、「パーセンテージは小さく見えるが、人数にすると無視できない層」に注目してみてください。
2. ペイン(痛み)の深さ:諦めが染みついているか
ビジネスで重要なのは「どれくらい困っているか」です。合う靴がない人は、健康被害や日常の不快感、お金の負担という、生活の根幹に関わる問題を抱えています。それでも「しょうがない」と諦めてしまっている。この「諦め」がある領域は、解決されたときのインパクトが大きく、やりがいも生まれやすいポイントです。
3.競合比較:誰が“当たり前”を疑っているか
業界研究では、「プレイヤーの数」だけでなく、「前提を疑っている会社がいるか」を見ると本質が見えます。シューズ業界の多くは、両足セット販売を前提にしています。その中で、片足販売や左右別サイズを前提にした世界をつくろうとする企業は明確に差別化されています。この“常識への違和感”が、ニッチ市場で戦う会社の特徴です。
「ニッチ×テクノロジー」で伸びしろを見る
ニッチ市場でも、テクノロジーが掛け算されることで一気に可能性が広がります。DIFF.が取り組む3Dプリントシューズのように、
- 一人ひとりの足の特徴に合わせたカスタマイズ
- 小ロット生産でも成り立つ仕組みづくり
といった技術が入ると、「合う靴がない」という課題が、現実的に解決できるテーマに変わります。業界を調べるときは、「ニッチな課題」×「テクノロジー活用」の有無をチェックすると、成長余地の大きい領域を見つけやすくなります。
求人票・企業サイトで確認したいポイント
実際に企業を調べるとき、次のような点を見てみてください。
- 「どんな人の、どんな不便や痛みを解決したいか」が具体的に書かれているか
- 「業界の当たり前」「しょうがない」とされてきたことに言及しているか
- テクノロジーを「かっこよく見せるため」ではなく、「課題解決の手段」として説明しているか
株式会社DIFF.のように、「左右で足の大きさが違う人」「両足セット販売の常識を変えたい」といった言葉がある会社は、「誰のどんな人生を変したいのか」が明確です。そうした企業ほど、自分の仕事が誰かの生活をちゃんと良くしていると実感しやすい環境だと言えます。
「ここなら、自分の仕事で誰かの人生を変えられるか」で選ぶ
華やかなトレンドや市場規模の大きさだけで企業を選ぶと、「結局、自分は何を良くしているのか」が見えにくくなりがちです。一方で、「20人に1人」のようなニッチな課題に正面から向き合う会社は、数としては目立たなくても、1人ひとりの人生には深く関われます。
業界研究をするとき、「この会社がいなくなったら、困る人は誰か」「自分はその人たちの“しょうがない”を変したいと思えるか」という視点を持ってみてください。その問いに“はい”と言えるニッチ市場こそ、あなたの仕事が長く価値を発揮できるフィールドになっていきます。