登場メンバー紹介:「特別じゃない」3人のバックグラウンド
今回話を聞いたのは、次の3人です。
・Aさん:20代後半・元フリーター。カフェとコンビニの掛け持ちをしながら独学で絵を描いていた。現在は堀江アートスクールの講師。
・Bさん:30代前半・元メーカー営業。絵は趣味レベルだったが、いまはマンガ制作進行と法人対応を担当。
・Cさん:20代前半・新卒入社。美大・専門卒ではなく、大学のサークルでマンガを描いていた。「プロの世界は怖そう」と感じていたタイプ。
3人とも「マンガ業界ど真ん中」ではなく、どこにでもいそうな経歴で入社しています。
入社前の不安:「絵もキャリアも中途半端」だった頃の本音
Aさんは「フリーター歴が長く、正社員経験ゼロで本当に通用するのか」が不安。講師と聞いて「自分が教えていいのか」と悩んでいました。
Bさんは「営業職からのキャリアチェンジで年収や将来像がぼんやりしていた」と話します。制作現場の知識もなく、ついていけるかが心配でした。
Cさんは「新卒カードを、ニッチな業界で使って大丈夫?」という迷いが大きかったそうです。「好きだけでは続かないのでは」という怖さも共有していました。
入社して驚いたギャップ:フリーな授業スタイルと「聞いてくれる」文化
3人が口をそろえて挙げたのが、授業と働き方の自由度でした。
Aさんは「一斉授業ではなく、生徒ごとの目標やペースに合わせて進めること」に驚いたとのこと。マニュアル通りではなく、講師の提案も歓迎される点がギャップだったそうです。
Bさんは、元営業として「数字重視」の職場を覚悟していたところ、「生徒の変化や満足度を丁寧に共有し合うミーティング」が多いことに衝撃を受けたといいます。
Cさんは「新卒だから任せてもらえない」と思っていたのに、早い段階から海外向け企画などの打ち合わせに同席し、意見を求められた点を挙げました。
コミックエージェントで変わったこと① 学び直しを支える「人との向き合い方」
不登校の生徒との関わりは、3人の価値観を大きく変えています。
Aさんは、学校に行けていない中学生を担当した経験から「教える側が焦っても仕方がない」と実感したと言います。まずは「今日はここまで描けたね」と小さな達成を一緒に喜ぶことで、生徒が少しずつ教室に来られるようになったそうです。
Bさんは、堀江アート高等学院の生徒の進路面談に同席したことで、「高校卒業=ゴールではない。『好き』を軸に選択肢を広げるサポートが必要」と感じるようになったと話します。結果として、自身のキャリアも「安定」より「納得感」を基準に考えるようになりました。
コミックエージェントで変わったこと② 世界とつながるマンガ体験
海外からの参加者向けマンガ体験も、3人にとって印象的な場面でした。
Cさんは、初めて担当した東南アジアからの学生グループで、「日本の繊細な感情表現の描き方」を英語とジェスチャーで伝えることに挑戦。拙い説明でも、参加者が笑顔で作品を見せてくれたことで「言葉よりも、描く楽しさが伝わる」と実感したと話します。
Bさんは、団体受け入れの調整役として、現地エージェントとのやりとりを担当。「教育×観光×マンガ」の企画を形にする経験が、「制作進行+企画営業」という新しい役割への自信につながっています。
コミックエージェントで変わったこと③ 「好きなこと」を仕事にするリアル
3人とも共通しているのは、「好きな絵を通じて、人の変化に立ち会える仕事」への実感です。
Aさんは、生徒のポートフォリオづくりを支える中で、「自分がやりたかったのは、ただ描くことより『誰かの挑戦を一緒に形にすること』だった」と気づいたと言います。
Bさんは、クライアント案件で講師やクリエイターの調整を行うなか、「現場の負担を減らしつつ、良い作品を出す」制作進行の面白さにはまったそうです。
Cさんは、「プロになりたい」「学校に行きたい」など、生徒それぞれのゴールに寄り添うことで、自分自身の成長も実感できると話しました。
面接で評価されやすい経験と、入社前にやっておくと役立つ準備
3人の経験から、「こういう経験は面接で評価されやすい」と感じたポイントは次の通りです。
・接客や営業など、人の話を聞きニーズをくみ取った経験
・アルバイトやサークルなどで、後輩指導や教育に関わった経験
・継続して絵を描いたり、作品づくりを続けてきたストーリー
入社前の準備としては、
・ジャンル問わず、自分らしさが伝わるポートフォリオづくり
・教える立場を意識して、工程や工夫を言語化しておく練習
・ボランティアやイベント運営など、異なる世代と関わる機会
が役立つと3人は口をそろえます。「特別な経歴」より、「好きなことを続けてきた過程」をどう語れるかが鍵になりそうです。