①海からどんぶりへ:水産仕入れ・養殖チームの仕事
5,500円の伊勢海老ラーメンは、まず「どんな伊勢海老を使うか」を決めるところから始まります。水産仕入れ・養殖チームは、産地や漁法、サイズ、状態を見極め、「味」と「ストーリー」の両方をチェック。折れた足やツノで規格外とされる伊勢海老を、ラーメン用として買い取るのもこのチームの判断です。
同時に、将来の完全養殖や国内循環型モデルも視野に入れ、飼料・環境・輸送方法を含めて設計。海と店、そして世界の食卓をつなぐ、最初のバトンを握る存在です。
②一杯の“設計図”づくり:商品開発とメニュー設計
次に、「どんな一杯に仕上げるか」を考えるのが商品開発とメニュー設計の仕事です。伊勢海老の風味を最大限に生かすスープの抽出方法、麺の太さや小麦の種類、トッピングのバランス、器の形までをトータルでデザインします。
5,500円という価格に見合う価値をどう表現するかも重要なポイント。原価・オペレーション・提供時間を計算しつつ、「この一杯に何を込めるのか」を言語化し、コンセプトに落とし込んでいきます。
③火口の最前線:厨房のラーメン職人たち
設計図ができたら、いよいよ厨房の出番。ラーメン職人は、仕入れ状況に合わせてスープの濃度や塩分、火加減を微調整し、毎日同じクオリティに仕上げます。注文が重なるピークタイムには、茹で時間や盛り付けの秒単位のズレが味を左右するため、集中力とチームワークが命です。
一杯ごとに伊勢海老の香りを確認し、「今日のベスト」を出し続けるのがプロの仕事。仕込みから片付けまで、体力も求められますが、そのぶんダイレクトにお客様の反応を感じられるポジションです。
④お客様との“橋渡し役”:ホール・店舗運営・広報
完成したラーメンを「体験」として届けるのが、ホールスタッフと店舗運営、SNS・広報の役割です。ホールでは、メニューの背景や伊勢海老ラーメンの楽しみ方を自然な会話で伝え、初めての方のハードルを下げます。
店舗運営は、スタッフのシフト、在庫管理、衛生管理を統合し、毎日同じ品質で店を回す司令塔。広報は、開発ストーリーや生産者の想いをSNSやメディアで発信し、「食べる前からワクワクしてもらう」仕掛けをつくっています。
⑤どんな人が向いている?職種別の性格・スキルセット
飲食×水産の仕事は、性格や得意分野によってフィットするポジションが変わります。例えば、
・水産仕入れ・養殖:コツコツ調査するのが好き、自然や生き物への関心が高い
・商品開発:味の違いに敏感、アイデアを形にするのが得意
・厨房:体力と集中力に自信、手を動かしながら成長したい
・ホール・広報:人と話すのが好き、言葉や写真で魅力を伝えるのが得意
どの職種も、「おいしいを通じて誰かを喜ばせたい」という気持ちが共通の土台になります。
⑥アルバイト・未経験からのステップアップ例
未経験でも、まずはホールやキッチン補助のアルバイトからスタートできます。接客をしながらメニューやオペレーションを覚え、興味があれば仕込みやスープづくりにもステップアップ。
水産や商品開発に関心が出てきたら、仕入れ同行や試作の試食会に参加し、レポートを書くことで「考える力」を磨いていきます。飲食店での経験を土台に、水産流通や養殖、商品企画などへキャリアチェンジしていくルートも現実的です。
⑦「食べる側」から「つくる側」へ視点を変えてみる
一杯の伊勢海老ラーメンの裏側には、海、養殖、物流、企画、調理、接客、発信まで、多様な仕事が連なっています。どの職種も、「自分の手が、誰かの一口につながっている」と実感しやすいのが魅力です。
今までただ「おいしい」と食べていたラーメンを、「この工程の連携でできているんだ」と想像してみると、自分がどこで関わりたいかが見えてきます。飲食×水産の世界は、情熱次第で入口もキャリアの広がり方も、思っている以上に柔軟です。